二人のロールモデルから探る、MIXIで育むQAキャリアの可能性

Chihappy
MIXI DEVELOPERS
Published in
Feb 28, 2024

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MIXIの開発本部は、多彩なバックグラウンドを持つQAエンジニアたちが集まる場で、互いに知識と経験を共有し合っています。

その中で、QA分野での豊かなキャリア経験を活かし、それぞれマネジメントと現場のQAリーダーの役割を果たしているのが、安里(写真右)と松谷(写真左)です。本記事では、10年以上のQAキャリアを持つ安里と松谷がQAの世界で見つけた面白さや、職務を遂行する上で重視する価値観、そして彼らのキャリアに対する考え方に迫ります。

QA業界へ足を踏み入れたきっかけ

──お二人は、たまたま同じ時期にQAとしてのキャリアを歩み始めたとか。

安里:今回のインタビューをきっかけに知ったのですが、どうやらそのようです。

松谷:びっくりしましたね(笑)僕はもともと全然違う職に就いていて、その後教員免許取得のためにあらためて大学に通っていたんです。無事卒業できたもののリーマンショックの影響で中々職が見つからず、ようやく内定をいただいたのが中国の会社でした。その会社には当時QA組織が無かったので、立ち上げメンバーとしてジョインしました。

安里:これまた偶然なのですが、実は私も同じ会社でQAとしてのキャリアをスタートしたんです。当時は知り合いではなかったんですけどね。

──入社された会社まで同じだったんですね!すごい偶然。MIXIではどのような業務に携わっていますか?

安里:2015年の入社当初は「モンスターストライク(以下モンスト)」で現場のQAリーダーを1、2年務めた後にマネージャーになりました。そのうち新規事業など多方面からQAを手伝って欲しいという声をいただくようになり。1人で見るのは限界というタイミングで、モンストのQAマネジメントを他の方にお任せし、それ以外を開発本部という全社横断組織配下のQAグループで受け持つことになりました。

そして現在ですが、実は育休から戻ってきたばかりで、育休明けからは「共闘ことばRPG コトダマン」のQAチームのマネジメントをしています。

──「QAチームのマネジメント」というと、具体的にはどんなことをされているのでしょう。

安里:おもに組織づくりです。 スポーツでいうと監督、オーケストラでいうと指揮者のような存在ですね。自分はプレイもしないし楽器も弾かないけど、こんなチームにしたいという理想があり、日々のコミュニケーションやプロセス改善のアプローチを通じて結果が出る組織にしていくイメージです。具体的には、開発プロセスの改善、テスト手法の最適化、メンバーのスキルアップ支援、ピープルマネジメントなどを行っています。

松谷:プロセス改善による予防的アプローチもQAの仕事のひとつなのですが、実際にやるのはすごく難しいんです。

──松谷さんは現在どんなことをされていますか?

松谷:僕は中国から帰国後、いくつかの企業でQAリーダーやプレイングマネージャーを経験し、2023年9月にMIXIに入社しました。現在のおもな役割は2つあります。まず1つ目に『Romi』というプロダクトのQAです。実際に手を動かしつつ、テスト計画や全体的なQAの方針などを作ることもあります。

もう1つの役割として、入社の際に「MIXIのQA全体のスキルアップ」というミッションを与えられました。現状は毎週さまざまなQAスキルをお伝えする勉強会を開催しており、後から見返して自習できるようなスライドや動画も作っています。

QA歴10年超──歴戦の二人が語る「QAの面白さ」

──お二人はQAとしてのキャリアがすごく長いですよね。どんなところにQAの面白みを感じていますか?

松谷:僕は中国にいる3年間で開発とQAのどちらも好きになり、どちらの道を選ぼうか迷っていた時期があるんです。転職活動で両方の内定をいただき、よく考えた結果、実は人に言われて開発するのはあまり好きじゃないと気が付きました。

一方で、QAの仕事は楽しかったんですよね。QAは知識とスキル次第でいくらでも効率的になります。それが自分には面白く、QAを極めたいと考えました。

安里:わたしも松谷さんと似ているかもしれません。品質が上がり顧客が喜ぶのであれば何をしてもいい、というのがQAの面白さだと思います。抽象的な課題に対して自分のアイディアをぶつけられるのが楽しいです。

たとえば、実は口頭だけで品質を上げることもできます。開発やテストのプロセスを観察して、こういう風に改善するといいですよと進言するだけでも変わるんですよね。

──自由な発想で課題を解決していく楽しさがあるんですね。

松谷:間違いないです。以前の職場でテストコンサルのようなことをしていた時、さまざまなテスト手法を適材適所で活用するテスト計画を作成した結果、ピタッとはまってうまくいくことがよくありました。そういった時はすごく気持ちがよくて楽しいですね。

──自由にさまざまな手法を使いこなせると気持ちよさそうですが、どうすればそういったことができるようになりますか?

松谷:僕自身いきなりQAになり、最初は何をすればいいか分かりませんでした。分からないながらも本やブログを読み、開発にも関わるうちに、「この問題は上の工程で抑えたほうが良い」といった戦略が見えてくるようになりました。インプットした知識を現場で活用する繰り返しで成長できたと感じているので、勉強と現場を知ることが大切だと思います。

安里:わたしもそう思います。ソフトウェアのスキルだけで活躍できる領域は限られているのでプロダクト開発全体を知らないといけません。人を巻き込んで動かすことも必要になってきますし、人間を知ることも大切です。

松谷:エラーを起こすのは人間なので、その点でも人間を知るのは大切ですね。

働く上で大切にしている価値観

──そんなお二人が、これまでの経験から大切にされている価値観を教えてください。

安里:僕はモンストで「ワンチーム」の一員としてQAを経験したことから、対話を大切にしています。QAと開発って、どうしても敵対しがちじゃないですか。QAは「お金がない」「スケジュールがない」と文句ばかり言う存在だと思われていたり。

モンストでは相互理解が進んでいたため、そういった敵対が一切なく、良い関係性が築かれていました。フロアもQAと開発で同じでしたし、物理的にも気持ち的にも「ワンチーム」な感じがしてすごく働きやすかったです。

この時の経験から相互理解には日々のコミュニケーションが重要だと実感し、開発とQAで互いのやりたいことや目的をすり合わせることを大切にするようになりました。開発への理解を深めることでQAとしても良い改善提案ができるようになります。そうすると信頼関係が生まれ、協力体制が出来上がり、どんどん良い循環が生まれると考えています。

──すごく健全な関係性ですね。そのカルチャーはどうやって出来上がったんでしょう。

安里:モンストの場合はベンチャー的に立ち上がって一気に売れたので、セクショナリズムをやる暇がなかったんだと思います。とにかく意識がユーザーに向いていたという印象です。

松谷:MIXIに入社して良いなと思ったのは、そこですね。ワンチーム感があります。QAもプロダクトをより良くしようと同じ道を歩む仲間だとチームのみんなが理解していて、対等に意見できるような関係性ができています。

──気兼ねなく意見できる雰囲気があるんですね。松谷さんが大切にされていることは?

松谷:自分ごとで恐縮なのですが、酸いも甘いもひっくるめて楽しむことです。

──そう考えられるようになったきっかけはありますか?

松谷:昔、現場で非効率なテストがまかり通っていて、仕事がただただ辛い時期がありました。なんでこんなやり方なんだっけ?これ全部手作業でやるの?と修行のような気持ちでした。

その時に、つらいことをつらいままにしてはいけないと痛感したんです。楽しく働くには自分で環境を変える必要があると気が付きました。それから楽しくないと感じる部分を「改善ポイント」として捉えるようになり、業務プロセスの改善に励むようになりました。それが上手くいくと気持ちいいですし、業務が効率化され定時で帰れるようにもなります。その結果仕事もより楽しくなる、というようなサイクルでやってきました。

──楽しさを追求した先に、今の松谷さんがいらっしゃるわけですね。松谷さんは「テスターちゃん」の作者として、個人でもQA向けの教育コンテンツを発信されていますよね。社内の勉強会といい、準備に時間もかかって大変だと思うのですが、どういったモチベーションで続けられているのでしょうか。

松谷:知識やスキルを身につけることで効率的に良いQAができるようになり、仕事が楽しくなると実感しています。みんなにも楽しく働いてもらいたいので、そのための知識やスキルを伝えたいという気持ちがモチベーションですね。どんどん学んで、どんどん伸びていって欲しいです。

それと、教育は人の人生に関わることだと感じているんです。知識をつけ、プロセスの改善ができるようになるとリーダーやマネジメントの役割を任されるようになります。そうすると市場価値が上がり、転職できたり給料がアップしたりします。行動すればこんな良いことがあるよと、未来の可能性を伝えたいですね。

QAリーダーとマネジメント、それぞれの良さとは

──人を育ててより良い方向に導きたい思いがあるんですね。お二人はそれぞれQAリーダーとマネジメントの役割を担われていますが、それぞれの良いところはありますか?今後のキャリア選択の参考にお伺いしたいです。

安里:マネジメントは正直なところ、思い通りにいかないことばかりですし、ネガティブなフィードバックをして恨まれなきゃいけない時もあります。楽しいかと聞かれたら、別に楽しくはないです(笑)ですが、やりがいはすごく感じています。

松谷さんの育成の話とかぶるのですが、自分が採用した方や教育に関わった方が成果を出した話を聞くとすごく嬉しく感じます。当然彼らの努力のおかげですが。

もうひとつ嬉しいのは、社員の結婚と出産です。金銭面でも働く環境の面でも、安心できる職場じゃないとなかなか踏み出しづらいことだと思うので。大きなライフイベントがあったと聞くと、自分の選択や行動が誰かの人生に何かしらの影響を与えることができたのかなと、心のなかでひそかに考えたりします。

松谷:マネジメントによって、人が良い方向に変わる様子を見られるのはいいですよね。僕はずっとプレイングマネージャーなのですが、ある方と1on1で業務に関係のないゲーム作りの話をしていたら、どんどんハマって結果的にその道に進むことになった、ということもありました。

QAリーダーの良い点は、技術を常に追いかけられるところです。僕は技術が大好きなので、一貫して現場主義です。本を読むだけだと頭でっかちになりがちですが、現場では学んだ理論を実際に試して、正しいかを判断することができます。そうするとインプットしたことを実態に即したかたちへと洗練していけるので、プロセス改善により繋がりやすくなります。

MIXIで描く理想のキャリア

──最後に、目指すQAの理想像について教えてください。

安里:実はMIXIの社内に理想のQAエンジニアとして密かに尊敬している方がいます。まずは仕事を選ばない。何を頼まれても「僕が最適なのであればやります」と受け止めてくれるので、すごく仕事を頼みやすい。技術もありますし、結果も出していて、何よりQAに閉じこもっていないんですよね。

たとえばゲーム事業に関わっているときは、一般的なQAの領域を飛び越えて、どうすればゲームがより面白くなるかというところまで考えて行動されていました。プロセス改善できそうな場所があればどんどん入り込む行動力とタフさがあり、他職種とQAを兼任されたこともありましたね。なんでもやりますという姿勢と実行力と、新しいことにビビらないマインドを持っていて、すごく憧れています。

松谷:僕はQAをゲートキーパーではなく、会社全体で品質保証活動を進めるための旗振り役のような存在だと捉えています。

それを実現するためにQAが持っていた方がいい技術は多岐にわたります。テスト技術はもちろん、開発に対してはコードのロジックを理解した上でコメントする必要がありますし、開発プロセスに問題があればスクラムマスター的な動き方をすることもあります。こういったスキルセットは通常、QA組織全体として持っていればいいです。メンバーそれぞれが得意領域を持ち、足りない部分を補い合うような組織体制がベストだとは思います。

ただ、僕個人の気持ちとしては、1人でなんでもできるQAを目指しています。そのために必要な知識やスキルを身に着け、実際に現場で試していきたいです。また、MIXIでならそれができると感じています。

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